キリスト教あれこれ(6)

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クリスマスを迎えるにあたって

 教会暦では、今年は12月3日(日)からアドベントに入っています。アドベントは「待降節」と訳され、クリスマスの前の四週間を指します。
 アドベントとは、ラテン語の「来るべき」という意味で、テキストの来臨に対する約束と期待を表しています。この日からクリスチャンは教会の第二の祭(第一は復活祭)を迎える準備に入ります。欧米の教会・クリスチャン家庭でアドベントリースやクリスマスツリーを飾るのもこの日からで、教会暦で公現日と言われる1月6日に取り外されます。
 クリスマスに欠くことができないのが「ろうそく」です。初めに用意されるのが「アドベントのろうそく」です。それはアドベントリース(大抵は赤い実のついた柊で作られる)の輪の中に4本のろうそくが置かれます。クリスマス前までの4週間に毎日曜日ごと1本づつ火がともされます。ろうそくの色は長い間、王権を表すと考えられていた紫色です。アドベントは教会が王の到来を待つ時だからです。また、この紫色は贖罪(悔い改め)と同一視されてきました。
 次に「クリスマスのろうそく」です。アドベントリースの真中に置かれ普通、白い大きなろうそくがそれです。クリスマスのろうそくは「キリストのろうそく」とも呼ばれ、中世の教会の伝統では、クリスマスの12日間(クリスマスの前夜から1月5日まで)毎晩ともされ、その初めはキリストの誕生物語(ルカによる福音書2章1節~7節)が読まれた時点火されました。それは「世の光」であるキリストを象徴しているのです。「光」は「闇」と共に殆ど世界中の宗教で大きな役割を演じていますが、聖書においては、闇(暗黒)は滅びに至る悪の象徴、即ち罪、混沌、悲しみ、死の象徴です。これに反して光は救いに至る善の象徴、即ち恵み、秩序、喜び、生命の象徴として記されています。キリストは「世の光である」これは福音の中心です。
 第三は、「会衆のろうそく」です。礼拝で会衆の持つ白い小さなろうそくは、キリストのろうそくが意味することへの応答として点火します。それはキリストを救い主だと認め、私たち自身をキリストに献げ、その結果、この暗い世にあって光となるように自らを委ねていくことを表しているのです。

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